フィルムのサイズの種類で4×5(しのご)、5×7(ごなな)、8×10(エイトバイテン)などを使うカメラを大判カメラと呼びます。
ちょっと前の時代背景の映画の中で、写真館で黒い布を頭からかぶって覗きこんでるカメラマンが出てきますよね!?あれです!
実はあのカメラ、私達カメラマンの間では、バリバリに現役なんですね〜〜!笑。
大判カメラの魅力の一つは、何と言っても圧倒的な解像力です。
フィルムサイズが1番小さな4×5でも、35mmフィルムの13.5倍、8×10サイズのフィルム使うと54倍にもなりますから、何百万もする大型のデジカメでも到底追い付かない圧倒的な解像感が得られるのです。
そのため、大伸ばしのポスターや作家の作品造りなどには、未だに大活躍しています。
テーマ4でも御紹介した アンセルアダムス は、ヨセミテ国立公園の大自然を、四輪駆動車の屋根の上に積んだ8×10のカメラを使って、圧倒的な解像感で撮影した作品群を残しています。
その作品の完成度には、思わず息を飲んでしまいますね〜〜私のもっとも好きな作家です。
まあ、この講座で幾度となく出てきた作家名ですから、皆さんもそろそろ覚えた名前でしょう〜〜笑。
4×5とは、4インチ×5インチのフィルムサイズという事を示しています。
1インチは2.54cmですので、ミリに直すと、
フィルムサイズ名 |
ミリ |
4×5
|
102mm×127mm
|
5×7
|
127mm×178mm
|
8×10
|
203mm×254mm
|
35mm(参考)
|
24mm×36mm
|
※有効画面サイズは、これより少し小さくなります。
|
4×5サイズと35mmサイズの比較図
有効画面サイズで13.5倍の差が有ります。
|
4×5のフィルムで、だいたい L判プリント の大きさと思ってもらってよいでしょう。
1番大きなは8×10で、B5とA4の間位の大きさですね〜〜。
35mmフィルムや中版カメラの66や67などが、フィルムサイズにメートル法を使うのに対して、大判カメラがインチを使うのは、発達した国の違いを示し、面白いですね〜〜。
|
それぞれシート状のフィルムになっていて、一枚一枚を完全暗室で (完全に真っ暗な部屋。暗室用セーフティライトも使えません) 手探りで専用フィルムホルダーに入れて、特殊な使い方をしない限り一枚に一コマ撮影します。
|
いずれも4×5サイズ。左から
FUJIFILM RDPV PROVIA100F
Kodak E100 VS
RDPVの現像前、生フィルム。(ただいま感光中!笑。)
|
|
4×5フィルムホルダーとフィルム装てん手順。
完全暗室内(真っ暗の中)で確実に、フィルムに指紋を付けないように装てんするには、ある程度の練習が必要です。
カメラに装てんして、撮影する時は一番右の状態で撮影します。
|
フィルムの種類によって違う右上(上の写真では左下)のコードノッチを指でなぞる事で、完全暗室内でもフィルムの裏表やフィルムの種類を知る事ができます。
大判カメラは、接写能力が高くスタジオ撮影向きの ビュータイプ と、コンパクトにたためる野外で使うのに便利な フィールドタイプ (テクニカルカメラ) の二種類があります。
|
ビュータイプ
(写真はトヨヴュー 45G)
カメラケースは電子レンジ二つ分ほどあり、持ち運びは嫌になります!笑。
アオリ、接写能力は無敵で、最高の画質が約束できます。
写真は、袋蛇腹、凹みボード仕様
|
|
フィールドタイプ (テクニカルカメラ)
(写真はトヨフィールド 45AU
)
たたむと、大飯食らいの人のお弁当箱位の大きさになり、野外での撮影に大変便利です。
コンパクトになる分、接写能力やアオリの質、量に制限が出てきます。
|
昔は手持ち撮影用に作られたプレスタイプが有りましたが、今は殆んど見ませんね〜〜時々映画の中で、昔の新聞記者が使ってます〜〜笑。
大版カメラをさわってみると、改めてカメラって原始的な機械なんだと思い出させてくれます。
その造り、構造自体は、坂本竜馬が写されたカメラと、あまり変わっていないでしょう!笑。
特にビューカメラは各パーツが簡単に分解でき、オプションパーツなどの交換が出来るように作られています。
各フィルムサイズに対応するパーツを組み込めば、4×5から8×10のフィルムまで対応できるような構造のカメラが多いですね。
勿論、電子部品はおろか電池もいっさい使かわれていません〜〜笑。
それどころか、内部はまったくの空洞!今のデジカメしか知らない人が見たら、展示見本!?と思うのではないでしょうか〜〜笑。
でも御安心を!
大口径の大判カメラ用レンズの群を抜く模写力の力も合間って、最新型の数千万のデジカメよりも、間違い無くハイクオリティな画像が撮影出来ます!
大型カメラの最大の特徴は、その画質の良さもさる事ながら、アオリが使えると言う点です。
例えば、私のアルバムにあるブルースハープの写真を見て下さい。
実は普通のカメラでは有り得ない、不思議な事が有るのに御気付きでしょうか?笑。
実は、観る者の視線を誘導する為に、ピントの合っている面が、ハーモニカにそって、斜めに走っているのです。
こんな芸当は最新デジタルカメラでも、そうは簡単にいきません!
上の写真の場合、ピントの合う範囲を一点に絞ってありますが、逆にピントの合っている所を面で広げる事もできます。
このようなピント面の調節は、アオリ効果のほんの一例で、
本来垂直にあるはずの物を垂直に見せたり、
逆にわざとパースをつけてみたり、
画面を簡単に上下左右にスライドさせたりする事もできます。
大口径の大判用レンズの素晴らしい模写の魅力も素晴らしく、大判カメラの魅力はまだまだ語りつくせないのですが‥‥‥
デジタルの時代になっても手放せない、実に魅力に溢れている大判カメラ、あなたも使ってみませんか?
|